木塚さんのお仕事は、鮮魚の調理販売です。
昭和初期から現在の地にあった、鮮魚店「魚松」の二代目で小学校のころから配達を手伝い、高校を卒業するとすぐに家業に入られたそうです。「この仕事が好きだから後を継いだ」と笑いながら話す木塚さんは仕事一筋54年。先代の包丁さばきを見て魚の扱い方を覚え、包丁を持つことを許されてからはリヤカーに魚を積んで出張販売に回り、その場で注文を受け、目の前で調理をされていたそうです。そうした約20年間区内を一人で歩き調理販売をされた経験が腕を磨くことにつながったそうです。
木塚さんのさばいた魚はお店に並ぶだけではなく、地域の保育園や小学校の給食の食材としても使用され、多い日には900切以上の切り身魚を用意されているそうです。また地域との関わりを大切にされており、　荒川区で開催されている料理教室や学校に講師として参加され、魚に関する知識や鮮魚調理技術の普及に取り組んでいらっしゃいます。
「魚に親しんでもらい、もっと魚のおいしさを知ってもらいたい」とおっしゃる木塚さん。お店手作りの惣菜も人気で特に評判の高いアジフライは衣はサクサク、身はふわっと柔らかくジューシーです。家族で営まれているという店内は明るく清潔感があり、笑顔と笑い声で溢れる温かいお店でした。