時計技術士の前山田さんは、まさに時計のドクター。デパートやメーカーに持ち込んでも修理できず、持ち主も諦めかけていた時計が全国から集まってきており、前山田さんの手で、再び時を刻み出します。「傷見」という専用のルーペを使い、全神経を指先に集中させて向き合うのは、なんと100分の1ミリの世界。時計を分解すると細かい部品が多いため、作業中は10秒間隔で息を止め、手元がぶれるのを防ぎます。作業は、0.1mm角の豆腐をピンセットで持ち上げるレベルの繊細さです。そのため、高い集中力と熟練された技術・経験が求められます。「お客さまのお陰で、今の私があります。お客さまの“ありがとう“は、何ものにも代えられないですね」という前山田さんの言葉には、職人としての誇り・時計修理にかける熱い思いが感じられました。