
関わるほどに、
街はもっと魅力的に!
未来の大宮、
市民が主役でまちづくり

本記事は20周年企画の一環として、大宮地域で活躍するさまざまな方々に、あらためて大宮という街の魅力や目指したい未来についてお聞きするインタビューシリーズです。取材を受けられた人に、次の人をご紹介いただくというルールのもと、プレイヤーからプレイヤーへとバトンをつないでいきます。
16人目は、「おおみやコミュニティの“わ”女性の会」や「アートフルゆめまつり」の運営に携わり、大宮のまちづくりに深く関わる加藤久美子さん。人とのつながりを大切に、大宮の街をよりよくするための活動を続けてきました。そんな加藤さんに、これまでの取り組みやそこに込めた思い、そして未来への展望について伺いました。
お話しを聞いた人
加藤久美子さん

1987年より生活協同組合(現生協パルシステム)の理事として全国初となる個人宅配事業の構築、国際交流事業はじめ、阪神淡路大震災被災地支援等の活動に携わる。
「せせらぎコンサート」を市民企画委員会として引継ぎ、2024 年に 30 周年を迎えた。
2008 年、「アートフルゆめまつり」を立上げ、第17 回開催を迎える。また2011 年、「おおみやコミュニティの“わ”女性の会」を立上げ、女性視点でのまちづくりの勉強と、社会的提言を続けている。
女性の視点で、大宮はもっと暮らしやすくなる
加藤さんは大宮ご出身と伺いました。
はい、生まれも育ちも大宮です。子どもの頃から、大宮といえば、やっぱり鉄道と氷川神社が象徴的でしたね。昔に比べると、高層ビルも増え、商業施設も充実してきましたが、それでも地域のつながりを大切にする文化は今も息づいていますし、大きな災害も少なく安心して暮らせる街だと感じています。

そんな大宮のエキュートが今年20周年を迎えました。
おめでとうございます。エキュート第1号店が大宮でオープンしたことは、とても画期的な出来事でした。今では、すっかり日常に溶け込み、夕食の一品や手土産を選ぶのに便利な場所になりました。特にお土産を選ぶ際は、相手の好みに合わせて選べるお店が多く、とても助かっています。
加藤さんが大宮のまちづくりに関わるようになったきっかけを教えてください。
以前、生活協同組合(現・パルシステム)の役員を務めていた頃、小さな子どもを育てていたこともあり、大宮での暮らしにますます関心を持つようになりました。 その一方で、PTA活動を通じて、多くの母親と出会い、みなさんと一緒に「環境」や「教育」をテーマに公民館で勉強会を始めました。この活動は、すでに40年ほど続いているんです。積極的に学んで声を伝えていこうとする女性たちが身近にいること、それが、「おおみやコミュニティの“わ”女性の会」(以下「“わ”の会」)発足につながりました。

「わの会」活動でご挨拶される加藤さん
きっかけは、2011年に勉強会のメンバーの勧めで「全国まちづくり会議」の女性フォーラムで司会を務めたこと。この出会いから生まれたグループの講師をされた芝浦工業大学の作山康先生が、「これまでの『まちづくり』は、主に建物や道路をつくる形で男性が中心に担ってきたが、実際に『まちづかい』をしているのは、子育てや暮らしを中心的に担っている女性。ですから、これからはモノをつくる前にその『まちづかい』の視点を取り入れ、より多くの人がまちづくりに参画することが、より良い街につながっていく」と話されました。この言葉に共感し、仲間とともに活動を始めました。

「わの会」氷川神社での勉強会
「“わ”の会」では、毎月「まちラボおおみや」で定例の勉強会を開いています。私たちの活動は、単なる勉強会にとどまらず、地域の声をしっかりと届けることにも力を入れているんです。たとえば、大宮区役所の跡地利用計画に関する行政への提言もその一つですね。昨年7月には、女性視点での街の課題や改善点をまとめた「大宮のまちづくりに向けた要望書」を、大宮駅東口まちづくり事務所へ提出しました。

「わの会」大宮区役所にて
みんなが作り手、みんなが主役
副会長を務められている「アートフルゆめまつり」についてもお聞かせください。
アートフルゆめまつりは、市民主体で開催される大宮のお祭りで、音楽やアートを通じて豊かな文化のあるまちづくりを目指しています。この取り組みの源流は1993年に旧大宮市の桜木公民館と桜木中学校の共催で始まった「せせらぎコンサート」。それが2008年に音楽とアートを中心とした市民主体の「アートフルゆめまつり」へと発展しました。大宮駅周辺でスタートし、今では約100の団体が参加する、街全体に広がる大規模なイベントになっています。

アートフルゆめまつり
祭りのコンセプトは「みんなが作り手、みんなが主役」。準備から開催、片づけまでを市民の手で行い、それぞれが時間や情報、体力や知恵を持ち寄って運営しているんです。「誰かがやる」のではなく、「みんなが担い、参加する」という形で運営しているため、一体感もあり、感動もひとしおです。17回目となる今年は、5月11日(日)に開催しますので、ぜひ楽しみにしてください。
「アートフルゆめまつり」や「“わ”の会」の活動の喜びは?
やはり、人とつながることですね。大宮は今、住みたい街ランキングで2位になっており、その理由の一つには、賃貸料の手頃さや生活コストの安さがあげられます。しかし、大宮の本当の魅力を考えると、「人とのつながり」こそが大きな要素ではないでしょうか。その背景から、人とのネットワークの中で、新しい出会いや気づきが生まれ、こうした活動も生まれて続いてきたのだと感じています。

「アートフルゆめまつり」は次の世代へのバトンタッチが少しずつ進んでいます。また、「“わ”の会」も創設当時のメンバーと比べると半分以上が入れ替わり、新しく参加してくださる方も増えています。同じメンバーだけで続けていると考え方が固定化してしまいがちですが、新しい視点が加わることはとても大切だと感じています。
まちづくりは、すぐに成果が出るものではなく、形になるのに時間がかかります。積み重ねてきたものを大切にしながら、新しい提案をし続け、小さなことでも具体的に形にしていくことが大切だと思っています。

活動の中で「大宮の新しいお土産」として誕生したこりすのトトちゃんサブレ
最後に、今後の大宮についてのビジョンを教えてください。
人とのつながりを大切にしながら、まちづくりが続いていくといいなと思います。大宮は今変わりつつありますが、これから大きく変わっていきますよね。市役所の移転や駅の大規模な整備など、さまざまな動きがあります。ただ、その開発が一方的に「作ったから、こう使ってね」というまちづくりではなく、女性の視点を含め、実際に使う人たちの意見を取り入れながら進めていくことが重要だと感じています。地元の人だけでなく、他の地域や海外の方の視点も加えながら、より良いまちづくりができたら素敵だなぁと思います。

今は、行政の力だけでまちづくりを支えるのが難しい時代。だからこそ、市民の知恵や力、そして資金をどう活かすかがポイントだと感じます。上下関係ではなく、対等な立場でお互いに手を取り合いながら、より良い大宮をみなさんとともに築いていけたらうれしいです。
加藤さん、ありがとうございました。では、次にインタビューする方のご指名をお願いします。
J:COMのバラエティ番組『埼玉の逆襲』のキャラクター「たまやん。」を紹介します。埼玉の魅力を発信するこの番組で、たまやん。は皮肉交じりながらも埼玉への愛を感じさせる存在です。埼玉の番組なのに、なぜか関西弁で鋭くツッコむ姿も痛快ですよね。ぜひ、たまやん。に大宮の魅力を聞いてみてください。