大宮の“繋ぎ役”が、
若者たちの未来を
広げ続ける

本記事は20周年企画の一環として、大宮地域で活躍するさまざまな方々に、あらためて大宮という街の魅力や目指したい未来についてお聞きするインタビューシリーズです。取材を受けられた人に、次の人をご紹介いただくというルールのもと、プレイヤーからプレイヤーへとバトンをつないでいきます。

10人目は、株式会社コミュニティコム代表の星野邦敏さんです。星野さんはIT事業をはじめ、大宮駅近くの「コワーキングスペース7F(ナナエフ)」の運営やニュースサイト「大宮経済新聞」の編集長も務められています。そんな星野さんに大宮での活動や大宮の魅力について伺いました。

お話しを聞いた人

お名前

星野邦敏さん

1978年さいたま市出身。中央大学卒。IT事業と不動産運営事業を展開する「株式会社コミュニティコム」、空き家や山林を活用した事業を行う「株式会社よこぜカンパニー」の代表取締役。現在は大宮駅東口徒歩1分の「コワーキングスペース7F」「貸会議室6F」「シェアオフィス6F」、シェアキッチン「CLOCK KITCHEN」、「大宮経済新聞」の編集長など、地域とコミュニティに根差した事業を展開。
子どもと一緒に農業体験〜販売までを体験する「あきないキッズ」プロジェクトも取り組むほか、「むじんLOCK」の開発責任者、一般社団法人コワーキングスペース協会の代表理事、一般社団法人さいたま市地域活性化協議会の代表理事、認定NPO法人クッキープロジェクトの理事などを務める。

大宮は新旧が交わる珍しくて面白い街

はじめに、大宮でコワーキングスペースを始められた経緯を教えてください。

きっかけは東日本大震災の復興支援で宮城県を訪れたことでした。そこでは毎晩のように若者たちが集まって地元の未来を語り合う姿があり、東京でIT企業を営んでいた私は「地元・さいたま市で何か貢献したい」と思うようになったんです。そこで当時は都内でもほどんどなかったコワーキングスペースに目を付け、地元の創業支援や地域活性が行える拠点を生み出そうと考えました。縁あって大宮駅近くのビルの7階を借りられることになり、2012年に7Fをオープン、2015年には6階も借りて「貸会議室6F(ロクエフ)」と「シェアオフィス6F(ロクエフ)」も始めました。これまでに起業を目指す人や起業したての人、地元で活動をする人など延べ1000人を越える会員さまにご利用いただいています。

ここでは、さまざまなイベントで会員同士が交流を深めているそうですね。

そうなんです。気軽に参加できるランチ会や大宮商店街の方々を迎えての交流会など、“何かのきっかけ”を生み出すイベントを数多く主催してきました。また、このビルを飛び出したイベントもさまざまに行っていて、例えば数年前に借りた大宮の畑があるのですが、そこで育てたサツマイモを子どもたちと一緒に収穫し、焼き芋にして「鉄道のまち大宮 鉄道ふれあいフェア」で販売しました。そこで得た利益を子どもたちに分配する取り組みも行っています。大宮は遊休耕作地が多く、また農家の担い手不足も叫ばれているので、今後も子どもたちに向けた農業体験や商業体験に畑を活用していきたいですね。

大宮経済新聞の編集長を務められている星野さんにとって、大宮ってどんな街ですか?

2013年にスタートた大宮経済新聞は現在までに1900以上の大宮のニュースをお届けしてきましたが、知れば知るほど面白い街だなって感じています。駅の西口は区画整理がうまくいき整っている反面、東口はいい意味で雑多というか(笑)。お店もたくさんあるので飽きないですよね。そのほか、(武蔵一宮)氷川神社をはじめ歴史的な背景がある街で、そういう歴史や伝統を重んじる人たちもいながら、駅近郊のマンションに移り住んできた新しい人たちもいる。そういった新旧交わる街って全国を見ても他にはあまりないような気がします。これから何かをやりたいと野心に燃える20〜30代の若者も多く、しかも古くから住む人たちが彼らを応援してくれる土壌もあるので、若者が自己実現がしやすい街でもあると思います。

今後は挑戦を温かく応援できる立場に

今年20周年を向かえるエキュート大宮はよく利用されますか?

はい。「(埼玉粉問屋)つむぎや」さんの焼き菓子や「RF1」のお惣菜を買ったり、遠出した帰りに「利久BOWLS」さんでご飯を食べたりと何かと幅広く利用させてもらっています。「あっ、お土産買い忘れた!」って時にもめちゃくちゃ便利ですよね(笑)。都内の仕事で本当に時間がない時はエキュートさんでお弁当を買ってグリーン車で食べることもありますね。

最後に、今後大宮で取り組んでいきたいことを教えてください。

私が34歳の時に7Fを始めて、今は46歳になりました。先ほども言いましたが、大宮では「お店を始めました」とか「こういう商品を作っています」という20代や30代の若者たちが増えているので、よりそういった人たちを温かく応援できる立場になりたいですね。もちろん私ができることはしていきたいですし、私が解決できないことでも解決できそうな人とはこの十数年でたくさん知り合えたので、その繋ぎ役にもなれたらと。7Fのスタート時に大宮の方々にたくさんのご支援をいただいたように、私もいろいろな人たちの背中を押していきたいですね。

星野さん、ありがとうございました。
では、次にインタビューする方のご指名をお願いします。

大宮・氷川参道のカフェ「食べること研究所」を運営する山﨑奈々さんをご紹介します。健康的な食材を使用したメニューを提供するこのお店はいつもにぎわっていて、山﨑さんが開発したハーブソルトを販売したり、イベントで山﨑さんと茂木真理子さんの食ユニット「オオミヤシマイ」のお弁当を販売したりと、さまざまに食を楽しむことができる場所なんです。最近では「もなかも」という創作もなかのお店も始められたそうです。優しさのある素敵なお店作りがとても上手な山﨑さんに、大宮から発信する“食の楽しさ”についてぜひ聞いてみてください。