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食べる喜び、作る楽しみを
次世代に伝えたい。
半世紀以上にわたり
大宮の「食育」に取り組む
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本記事は20周年企画の一環として、大宮地域で活躍するさまざまな方々に、あらためて大宮という街の魅力や目指したい未来についてお聞きするインタビューシリーズです。取材を受けられた人に、次の人をご紹介いただくというルールのもと、プレイヤーからプレイヤーへとバトンをつないでいきます。
今回お話を伺ったのは、テレビ埼玉の料理コーナーでもおなじみ、国際クッキングスクール校長の内堀恵子さんです。50年以上にわたり大宮地域の食育に取り組むクッキングスクールの原点と、内堀さんが取り組まれている子ども食堂について語っていただきました。
お話しを聞いた人
内堀恵子さん
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日本大学芸術学部卒業。同大学芸術研究所修了。幼少の頃より、短大調理学教授の母に手ほどきを受け、料理の道に進むことを志願。家庭向きにわかりやすく、作りやすいレシピには定評があり、オリジナルメニューも数多くある。
その他、食品メーカーへオリジナルレシピ協力および小冊子へのメニュー提案をし、大手スーパーへの社員研修会等も指導している。また、各種コンテストの審査員や各社イベント講習会などで講習も行っている。2011年「美味しい歳時料理12か月」を出版。
自ら体験してきた「食事の楽しさ」を、より多くの人に広めたい。
国際クッキングスクールは、もうすぐ60周年を迎えるそうですね。
はい。このスクールは私の父が創設した料理教室が原点です。父はもともと公務員でしたが、料理が大好きで、ネギの青いところも捨てずに使うとか、柏餅の作り方とか、調理技術だけでなく食文化も一緒に学んでほしいという思いから設立したと聞いています。今で言う「食育」ですね。私自身も、食事の楽しさや食環境を整える方法を教わりながら育ちました。今となっては珍しくないトマトの味噌汁ですが、我が家では私が小学生の頃から定番料理として食卓に上っていたんですよ。
当スクールは1968年に創設し、今年で57周年を迎えます。地域に密着した料理教室として、初心者の方からプロを目指す方まで、さまざまな方が通われています。
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内堀さんといえば、テレビ埼玉の情報番組「マチコミ」でもおなじみです。
ありがとうございます。夕方の情報番組で料理コーナーを担当して30年近くになります。タレントさんと一緒にケーキのデコレーションをしたり、埼玉県産の食材を使っておせち料理を作ったり、いろいろな企画にも楽しく参加させていただいています。
県内のイベントでお客さまから声をかけていただいたり、スクールの生徒さんから「テレビ見ました」と言ってもらえるのは少し照れくさいですが、メディアの影響って大きいんだなと実感します。長く続けさせていただいていて、ありがたいです。
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最近では、子ども食堂を始められたと伺いました。
地域社会に貢献したいという思いから、子ども食堂を始めました。ただ食べさせるだけではなく、子どもたちが自分で料理を作って、それをみんなで一緒に食べる。そして、後片付けまで自分たちでやる。そんな体験を通して、食の大切さや、協力することの大切さを学んでほしいと思っています。
先日は、パン作りを行いました。簡単な成形作業を体験してもらったのですが、みんな楽しそうでしたね。焼きたてのパンをみんなで食べて、洗い物も最後までやる。自分で作ったパンは、家族への良いお土産になったのではないでしょうか。
今、調理師が減っていて、飲食店は人手不足に悩んでいます。食べる喜び、作る面白さを知ることで、食に関心を持ってもらえたらいいなと思いますし、「料理の勉強をしてみようかな」と思う子がいたら嬉しいですね。
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大宮には「おいしい、楽しい」がたくさん!だからこそ期待する未来。
大宮で生まれ育った内堀さん。この街にどんな思いをお持ちですか?
今は本当にきれいに整備されて、駅周辺もどんどん発展していますね。大宮を象徴する氷川神社も、最近は参道に新しいお店が増えました。何でも揃っているし、新幹線でどこにでも行けるし、選択肢が多くて便利な街だと感じます。
とくに、エキュートはユニークなお店がたくさん入っていて楽しいですよね。行列のできるチャーハン屋さんがあったり、期間限定で有名なお店のケーキが出ていたり。つい足を止めて買っちゃうんです。最近は車で移動することが増えましたが、エキュートで買い物をするために改札を通ることもあるんですよ。
何でもあるからこそ、この街にはもう少しゆとりがあってもいいかな、と思います。パレスホテルの前にある鐘塚公園のように、晴れた日にみんなが外でお茶を飲めるような空間が増えたら素敵ですよね。大宮にはビジネスパーソンも多いので、ビルの中で過ごしている方々が一息つける場所ができると、もっとこの街を好きになる人が増えるんじゃないかと思います。
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内堀さん、ありがとうございました。では、次にインタビューする方のご指名をお願いします。
トキタ種苗の時田社長をご紹介します。さいたま市内に農場を構え、地元野菜はもちろん、新種の研究開発にも取り組まれています。最近はYouTubeでの発信にも力を入れていらっしゃって、先日も野菜をメインにした料理を一緒に作らせていただきました。
食育は今後ますます大事なものになると思います。子どもたちにも、自分で作って食べる喜びを味わってほしいので、これからも時田さんと活動をご一緒できたら嬉しいですね。